ポッドキャスト まずは耳からはじめよ。

番組テーマ

音楽家・坂本龍一は1995年、インターネットこそアレやんけ!と誰よりも早く気づき、自らの活動を積極的にネットで展開してきた。この番組はそのような活動に当時直接関わったメンバーが、その時、その現場で経験したことを可能な限り詳細に話して記録しておくことで、坂本龍一がインターネットにもたらした文化現象とは何だったのかを、聴取者の頭の中にイメージとしてレンダリングされることを目的としている。

まずは耳からはじめよ。 #HAJIMEY0

経緯

発起人は、1995年からの黎明期を疾走したエンジニア・竹中直純、2010年前後のソーシャルメディア期を伴走したプロデューサー・平野友康、そしてエクソシスト見習い・中村祥一。

きっかけは平野と竹中で雑談していた時に坂本龍一が切り拓いたネットライブを中心とする活動がまとまった形で解るサイトも本も何もない!ということに気がついて、我々がボケる前に話せるだけ話してしまおう!という話になり、中村祥一がRADIO SAKAMOTOに関わっている期間を足し合わせると全期間をカバーできるということも発覚し、この三人なら!ということで収録まで漕ぎ着けました。全ての音源は中村祥一が編集しています。

(シーズン1 全7回 毎週火曜更新)

五十音順の出演者

竹中直純
竹中直純
プログラマ
1968年敦賀市生まれの申年。1990年代前半のインターネット黎明期からさまざまなサービスを企画、設計、開発するプログラマ兼起業家。現在はネット技術開発を本業とするdigitiminimi社を起点とし、OTOTOY、BCCKS、未来検索ブラジル社でいずれもプラットフォームサービスを運営しつつ各種新規開発も手掛ける。Podcast普及最初期の2004年に「デジオ宇宙」というポータルを運営し、自身でも実験的番組を投稿していた経験あり。第1回,第3回 Podcast Award Japan 選考委員。1995年〜2000年まで坂本龍一のネット活動の責任者を務めた。趣味は深夜ラン。
中村祥一
中村祥一
フォトグラファー
1976年生まれ辰年B型。干支が教授の二回り下。1999年からFMラジオ番組のアルバイトで音楽業界に。2006年頃からRADIOSAKAMOTOを担当。2014年から1年間、教授がラジオ番組をお休みしたことをきっかけに、ドローンを使った映像制作をスタート。水と土の芸術祭2015にて日比野克彦氏出展作品の撮影監督を務める。2016年 more trees design TSUMIKI のPVを制作。2019年から1年間、干支が1回り上の高城剛氏と共に、セドナ、カンヌ、シャモニー、ダラムサラ、パレスチナ、イスラエル、タンザニア、波照間島などを周り、CS60のドキュメンタリー映像を制作。2021年、東京国際映画祭出展作品「The Taste of Nature 世界で一番おいしいチョコレートの作り方」に音響とドローンスペシャリストとして参加。PRPL FORK FOOD FILM FOTO FESTにて最優秀 長編ドキュメンタリー賞を受賞。2022年、映像制作会社 ARUKA PRODUCTIONS設立。現在エクソシスト見習い
平野友康
平野友康
プロデューサー
1974年生まれ、ハワイ在住。1998年に鴻上尚史主宰「劇団第三舞台」をプロデュースするサードステージのデジタル部門から独立、株式会社デジタルステージを設立。現在はテレポート株式会社CEO。「モーションダイブ」シリーズや「BIND」、「フォトシネマ」など“自分たちの生活をデザインする”ソフトウェアを開発。著書『旅する会社』(アスキー)、『ソーシャルメディアの夜明け』(bccks)、ニッポン放送「平野友康のオール ナイトニッポン」のDJ、Ustreamを使った坂本龍一のネットライブ中継(スクムトゥス #skmts)の発起人など。グッドデザイン賞金賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞など受賞歴多数。趣味はジャムづくり。

エピソード

Apple Music Podcast Badge Spotify Podcast Badge Google Podcast Badge Amazon Podcast Badge

ep1: 目黒川横から始まった
Updated at 2022-10-13, Published at 2022-12-08

シリーズ全体構成→1995年はどんな年だったか→インターネットが生まれた頃→坂本龍一との出会い→双方向発信技術と文化の関係→坂本龍一プログラマ説→当時のインターネットは今のWeb3と似ている?→シェア主義、効率主義→誰でもノマドになれる電子メールは凄い→Internet World Expo 96との運命→身体を伴った演奏を超えられる可能性→D&Lでのネットライヴ→これは昔話ではない→ネット上のコミュニケーションの萌芽→ネット技術以外から初期ネットへ関わる感覚→技術革新と閾値→エンジニア万能感から海賊という表現へ

予告: インターネットに文化を最初に持ち込んだ坂本龍一を1995年から振り返るポッドキャストシリーズ、開始。当時、ほぼ技術者の発想しかなかったところに人類の可能性を感じた教授は「なんかしたい!」と斬新な仕組みを竹中らと共に考案し、自らのライブツアーに持ち込み、その可能性に皆でワクワクする実験と冒険の日々が始まった…

ep2: おもしろいもんみせますよ!
Updated at 2022-10-13, Published at 2022-12-13

前回の振り返り→教授がやりたいことを実現していった→ISOCに出た論文がある→MaiLEDという挑戦→初期ユーザーはいい子→みんな好きにやれば?→これは思い出話ではない→教授から湧き出てくるアイディア→Remote Claps(ネット越しに拍手して会場で可視化する)をetoさんが思いついた→興奮して連打してfキーがもげる→第1世代はfffff、第2世代は88888→どれも締め切りがキツい→原田大三郎さん、リモートピアノ、衛星インターネット、全員が参加→全力で全部やってみる→きわめて真面目な教授→自分の活動の付加価値としてではなく自分ごとになってた→委託されたネット業者が出てきた→「ネット業界」の誕生(先進的な実験からビジネスを起こして儲けようへ)→ネットがなかったらこのコンサートやらなかったぜレベル→徹底した文化醸成への参加意識→おもろいものみせますよ!

予告: 坂本龍一の当時の活動は常に「全員参加者」が前提になっている。コンサートの「演出」としてインターネットを活用するのではなく「みんなの場」を提供するという姿勢も徹底している。演出として成立するかどうか分からなくても「やってみればいいじゃん」という度胸のもと、Remote Claps(リモート拍手機能)やRemote Pianoなどが導入されていく…

ep3: 全員参加のインターネット
Updated at 2022-10-13, Published at 2022-12-20

Tシャツとビジネス→リスペクトだけではない溝→ネットの空気化→1999年LIFEでの試み→MAA活動の狙い→人類活動への参加貢献→生産の喜びと初期インターネット

予告: 1990年代の終わりにインターネットに「ネットの業者」が誕生する。竹中はそれが放送を始めとする各業界とインターネットの融合と文化の発展を邪魔したと感じていた。なぜならインターネットは空気のようになるべきで、ネットのエンジニアは各界へリスペストを持ってそれぞれの流儀を学び、それぞれのあらゆる分野に溶け込んで成熟していくべきだったと考えていた…

ep4: どこまで坂本龍一に失礼をできるか
Updated at 2022-10-13, Published at 2022-12-27

関わる人は皆参加者であることを求められた→インターネットを利用するのではなく、インターネットがカンバス→那須での再会→2009年前後のUStreamやSNSの状況→北米ツアーでのsamfとの冒険→「どこまで坂本龍一に失礼なことをできるか」の意義→調律師からホールマネージャーまで全員参加→Public Viewingが拡がり、ピアノを一生懸命弾く→JRCによる権利クリア方法の変化

  1. @samFurukawa さんによる教授 @skmt09 のアメリカツアーをUSTするの巻 - togetter
  2. skmtSocial project - quick guide
  3. 目と目を合わせるメディア論 - ほぼ日
  4. 坂本龍一 北米ツアーに平野が密着! - ds NEWS Vol.166
  5. 「skmtSocial project」が本格的に始動 - OPENERS
    • この記事内で竹中が@ototoy_infoとなってますが、@uhyoppoです。この頃には俺はすっかり音楽ストアのおじさんとして認識されてる。違うのにw(nt)
  6. #skmts 思い出ボックス

予告: 白いカンバスを見たら表現せずにはいられない。それと同じようにインターネットに文化を持ち込んだ坂本龍一の活動は、強烈な当事者意識と全員参加の意識があった。第二期は平野友康が伴奏した「だれでもマスメディア化」の時代について。平野はある夜、那須の夜の森の中で坂本龍一と再会する…

ep5: 泉のごとく溢れるアイディア
Updated at 2022-10-13, Published at 2023-01-03

ライヴの権利の設計と観客の感覚の変化→おひねりライヴの先進性→演者と観客の関係性を破壊→アウラ騒動(2011)から東北大震災→深化、具体、直接に向かう→技術革新ではないブレイクスルーとは→変わるべきは我々では→脳の一部容量さえSNSのおかげで変わっているかも

予告: 2010年、平野は古川享と #skmts (サカモト・ソーシャル・プロジェクト)ライブ配信を企画し参加する。今振り返ると当時の可能性として、当時できたはずの権利処理について竹中が指摘する。溢れんばかりのアイディアが坂本龍一から発信される日々の中、311でその活動は大きく変わっていく…

ep6: 超個人主義
Updated at 2022-12-10, Published at 2023-01-10

インターネットは知恵の結晶→人類はバカになった?→効率化と車輪の再発明→我々は情報化社会の「練習」ができていない→プリミティブな喜びを得られる仕掛けを考えたい→大企業に「使わされている」わたしたち→個人レベルで面白いことを始めればいいんじゃん?→音の環世界→1分無駄なUXだと全人類で70億分の無駄→ハイレゾPodcast→まずは音をやろう

予告: インターネットは人類全体が賢くなるためのツールであって欲しいと願う竹中。黎明期から参加していた彼は、自分たちの能力が結晶としてネットの海に大きく広がっていくのを感じていた。ところがこの10年で一気に「人類をダメにするもの」に変わってしまったように思える。だがそれで良いはずはなく、竹中、中村、平野はその先のメタ視点を持つ方法を模索し始める…

ep7: まずは耳からはじめよ
Updated at 2022-12-10, Published at 2023-01-17

エンジニアを育てる必要性→お祭りを起こしてほしい→それぞれの思考を切り替えることが最大の祭りになる→お互いに自立した個人であろうとする姿勢→マスクをしないと不安→周辺から変えて行こう病→祭りが仕事になるといい→いつも祭りは音から始まっていた→まずは耳からはじめよ

予告: 過去30年近く、数年に一度の「祭り」が坂本龍一からもたらされてきた。何かを突破するムーブメントは音楽からはじまっていたのだ。これまでの対象は「未踏の領域」だったが、今は自分たちが生み出した「関係」そのものが脅威になっている。私たちはインターネット空間に住み始めてわずか二十数年、多少のディストピアは乗り越えて、次世代のエンジニアへバトンを渡す方法を模索するシーズン1の最終回

収録日の平野と竹中
© 2022 Photo by Shouichi Nakamura

問い合わせ

ポッドキャスト まずは耳から始めよ への感想、質問、問い合わせは、Twitterの @hajimey0 アカウントへのメンションまたはハッシュタグ #HAJIMEY0 をつけてツィートしていただけると三人のうちの誰かが気づきます。

Special Thanks

この番組は、東中野にあるPodcastレコーディングスタジオ付きクラフトビールバー "雑談" で二日間に渡って収録しました。